いまでは、県内ばかりでなく、福島など近県からも重症のアトピー患者が通院する。 これまでに自分の内面を見つめるための絶食療法、催眠誘導などの新たなアプローチを試みてきた。
中国医学も勉強し、漢方を治療に取り入れた。 その結果たどり着いたのは、「あたりまえの治療」だという。
「とにかく、患者さんの不満や訴えにじっと耳を傾ける。 困っていることにはアドバイスする。

そして、漫然とした長期の連用で副作用を起こす危険性のあるステロイドは避け、それ以外の塗り薬、かゆみ止めの抗アレルギー剤、漢方薬などを出すという、ごく普通の治療です」三分診療がまかりとおり、患者は言いたいことも言えないうちに診察が終わってしまいがちの医療の世界で、この「あたりまえの治療」は、基本に立ち返るものだ。 「患者さんの表情、姿勢、しゃべり方、話す内容、一挙手一投足をじっと眺めて、この人はどんな生活をしているのかな、どんな性格なのかな、と考えながら皮膚の状態を見る。
すると、いろんなことがわかってくるんです」病院を転々としても治らない。 患者は、治したいのに治らない辛さに苦しむ。
「患者さんから『治るんですか、治らないんですか?』と聞かれたとき、『こうやれば治るという方法はないんだ』と、まずわかってもらうようにしています。 『治るか治らないかなんて、誰にもわからない。
だったら、治らないと思って暗くなるより、治るかもしれないと思って生活したほうがいいでしょう』とアドバイスします」一つの方法では治らないということは、逆に言えば、一人ひとりに違った治っていくための手だてがあるということだろう。 それを患者とゆっくり話し合うなかで見つけていこうというのが、Gさんの基本的な姿勢だ。
症状が悪くなると、患者は早くよくなりたいとあせる。 しかし、これだけ世の中で騒がれていて、しかも決定的な治療法が見つからない病気が、すぐに治るわけはない。
「一刻も早く治したいという気持ちと、客観的に見てそんなにすぐよくなるわけがないという事実、この二つは相矛盾しますよね。 でも、ぼくは患者さんにこの矛盾を受け入れてもらおうと思っている。
『早く治りたい気持ちもわかるけど、あせってやってもロクなことはない。 ゆっくりやろうよ』つて。

ぼくの役割は希望の小窓を開いてあげること。

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